エネルギーマネジメントに焦点を合わせた今回のワークショップは、開催日前日4月22日にシンガポール新エネルギー法が正式施行日という絶妙なタイミングの中で開催されました。また、シンガポール国家環境庁 (NEA)エネルギー効率化/環境部 ウィンストン・タン副部長がワークショップに参加され、新省エネルギー法の狙いと関連プログラムについて講演いただきました。
講演プレゼンテーションのダウンロード(pdf)
講演の中で、ウィンストン・タン副部長は新省エネルギー法施行の最大目的は事業者のエネルギー効率改善を後押しし、グローバルにおける事業競争力を強化することを強調しました。シンガポールは2005年をベースラインとし、2030年までにエネルギー効率を35%改善することを目標にしています。その目標を達成するにあたり、ウィンストン・タン副部長は NEA の立場として、ISO 50001 国際規格が新省エネルギー法の効果的な施行へ重要な役割を担うにあたり、全面的に「新省エネルギー法とISO 50001のブレンド」を促進することを解説されました。
ウィンストン・タン副部長の講演はワークショップの参加者へ大きな反響と共感を呼んだことは間違いありません。
- ISO 50001 適合型 EnMS 運用を学ぶ中、新省エネルギー法が紹介されたこと。
- 新省エネルギー法がエネルギーマネジメント運用に力を入れていること。
- 新省エネルギー法とISO 50001が相互補完的にシンガポールのエネルギーパフォーマンス改善を促進すること。
- 新省エネルギー法が規定するシンガポール公認エネルギー管理者任命(SCEM)と ISO 50001 が規定するトップマネジメントを代表する EnMS 運用責任者任命、両者の役割と責任について、ワークショップ開催3日間常に議論のテーマにあったこと。
- 新省エネルギー法に関連し、さまざまな補助金・促進プログラムが用意されていること。
ウィンストン・タン副部長講演内容は3日間のワークショップの中で随所引用され、氏の簡潔明瞭な講演は、その内容を十分理解することができたと多くのワークショップ参加者より賛辞が寄せられました。ワークショップでは、シンガポール公益事業庁(PUB)から参加者4名あり、いずれもPUB が誇る四大水再生プラントからの代表者であり、省エネルギー法対象事業者としてとして特に法令の内容に真剣であったことは言うまでもありません。
NEA は、ワークショップの内容について事前に関心を示し、NEA エネルギー効率化/環境部より一名ワークショップに参加いただきました(Milton Neo氏)。他の参加者の省エネルギー法への意見およびエネルギーマネジメント運用の実施内容、さらにISO 50001適合型 EnMS 運用の実用性の効果など多くを Milton Neo氏より評価いただけたと思っています。Milton Neo氏の積極参加は他の参加者の EnMS への動機づけに効果があったと同時に、ワークショップの活発化にも大きな効果がありました。
ワークショップにより、エネルギーマネジメント主要要因解説され、省エネルギー法による要件とISO 50001 適合型 EnMS 運用要因が相互にエネルギーパフォーマンス改善強化へつながることが参加者により十分理解されたことをワークショップ終了後、NEA に対して報告するに至りました。その結果、今後の SCEM 教育プログラムの中に本ワークショップ内容導入を検討する意向が NEA より報告がありました。
ワークショップ参加者は、参加したことにより、ノウハウだけでなく実際のワークショップ体験から培った実用面に効果を見出しており、組織に戻ってからISO 50001 適合型 EnMS 運用を指導する責任を自覚するに至ったと評価しています。以下の項が、 ISO 50001 規格面に限らず、ワークショップによりパフォーマンス改善への実用面について参考になったと参加者から上がったポイントです。
- EnMS 運用において、トップマネジメント指導性の重要性認識。
- トップマネジメント任命のエネルギー管理責任者と省エネルギー法が任命を規定する公認エネルギー管理者の役割と責任に明確な違いがあり、双方の役割をEnMS 運用に適用することの重要性が認識された。
- EnMS 運用するにあたり、ISO 50001 適合型文書化の重要性認識。
- エネルギーレビューにおいて、省エネルギー機会には技術面による機会と運用面による機会双方が実在することの認識。
- エネルギーパフォーマンス指標(EnPI)は「原単位」指標では用がなさず、ベースライン/目標設定および省エネルギー効果評価をするにあたり "y=ax + b" というEnPIが紹介され、その内容が理解・評価された。
- EnMS 運用には、エネルギーモニタリングが必要不可欠であることが認識された。しかし、最初から完璧を狙うことは初期投資コストをいたずらに上げ、さらにはデータ氾濫のリスクがあることも認識された。
- 会社の価値、ランキングを上げるには、EnMS 運用についての内部コミュニケーション強化だけでなく外部コミュニケーションも重要であることが認識された。
- EnMS 運用関連教育プログラムは、会社の人員育成プログラムと直結することが効果的であることが認識された。
- ISO 50001 の一つの強みは「購買」についてのガイドラインにあり、「ライフサイクルとサプライチェーン」というEnMS 運用のスコープを見直し、新たな事業展開を促進することが認識された。
- エネルギー効率改善は、エネルギー需要側が主役になることが肝要であり、従ってプロセス手順や設計面によるパフォーマンス改善が重要であることが認識された。
- ISO 50001 適合型 EnMS 運用が導入されれば、自動的に法令やその他の規定に適合するはずであることが認識された。
- EnMS 監査がワークショップで体験され、監査スコアカードが利用された。監査スコアカードは、審査の公平性と透明性を確保するに非常に有効な存在であることが認識された。
- ISO 50001 は認証が要求されているのではなく、エネルギーモニタリング手順を含めたEnMS 運用による改善志向の手順を以て「継続的エネルギーパフォーマンス改善」を要求されていることが認識された。
ワークショップを通して、英国TEAM社の提供による「wiki50001 オンライン EnMS オペレーション/文書化システム」環境下でセッションが進行された。
「wiki50001」の強力な機能が立証された例としてEnMS 監査体験を実施した時に見られた。「wiki50001」が被監査人の強力な助っ人であることが立証されたからだ。「wiki50001」には EnMS-Doc の文書がインストールがされているだけでなく、ISO 50001要件がテーマページ毎にリンクが貼られ、審査内容に従って、タイムリーに回答ができ、そしてエビデンスがパソコンの画面上で提示できる内容になっている。その結果、監査活動を通してかなり高得点の審査結果が得られることが立証された。
MediaWiki フレームワークによる経済的なオンライン EnMS オペレーション/文書化システムは、ワークショップにおいて参加者にシステムの操作やシステムによるISO 50001 適合型 EnMS 運用実施してもらうことにより、組織に合った簡潔かつ効果的なEnMS 運用の実施を可能にする以下の優れた機能を保有していることが体験された:
- システムを実演するだけで、ISO 50001 適合型 EnMS 運用を習得するトレーニングツールとして利用できる。
- システムを実演するだけで、ISO 50001 適合型 EnMS 運用を習得するトレーニングツールとして利用できる。
2. 効果的な文書管理、保管システムとして利用でき、必要な情報をすばやくリンクや検索取得、文書承認や監査証跡機能を含め、EnMS 運用をペーパレス環境で実施することができる。
- EnMS 運用の現状について、手軽なコミュニケーションと組織内外に展開することを促進し、会社の優秀性を示すことができる。
- 各自のワークステーションからEnMS 運用管理を実施することができる。
- 「監査員」ページを有効利用することにより、被監査人が監査活動主導し、組織のEnMS 運用について事前に監査員に情報提供しながら監査員との情報交換を通して、高評価の審査結果を引き出すことができる。
No. |
氏名 |
会社名 |
(1) |
CHU Kar Kit |
Vector Engineering Design Co., Ltd. (Energy Environmental Consultant) |
(2) |
Salim Suwignjo |
Setsco Services Pte Ltd (Senior Engineer, Construction Technology Division) |
(3) |
Wai Kok Foo, James |
Urban Redevelopment Authority (Director Corporate Services) |
(4) |
Yap Kok Kin |
Earns Technologies (Shenzhen) Co Ltd (Director) |
(5) |
Ng Koon Siang |
UGL Services Premas Operations Limited (Deputy Director, Energy Services, Building Technology & Capital Equipment) |
(6) |
Milton Neo |
National Environment Agency (Engineer, Energy Efficiency and Conservation Department) |
(7) |
Tan Yeow Chew |
PUB (Senior Manager, Ulu Pandan Water Reclamation Plant, Water Reclamation (Plants) Department) |
(8) |
Chong Chin Teck |
PUB (Senior Engineer, Changi Water Reclamation Plant, Water Reclamation (Plants) Department) |
(9) |
Aw Kian Hing |
PUB (Deputy General Manager, Kranji Water Reclamation Plant, Water Reclamation (Plants) Department) |
(10) |
Dhimant Hiralal |
PUB (Principal Engineer, Jurong Water Reclamation Plant, Water Reclamation (Plants) Department) |
(11) |
Lee Thompson |
Hertel Singapore Pte Ltd (Plant Integrity Manager) |
(12) |
Li Xingang |
Faci Asia Pacific Pte Ltd (Production Manager) |
(13) |
Kor Lee Kiong |
Frasers Centrepoint Property Management Services Pte. Ltd. (Building Manager, Notrthpoint) |
ワークショップ内容の詳細について興味ある方は、「ワークショップ報告書」(英文)をダウンロードいただけます。
従って、要求項目はプラス志向の実用性に富んだ内容になっており、要求項目を反映すれば、確実にサスティナビリティ事業展開を優位に進められることを経営者は認識するはずです。その要求項目を事業運用上有利に展開することを確実にし、確立した体制と運用レベルを確実に維持するには、最低の文書化が必要となります。ISO 50001 の要求項目ごとに中身を吟味すると必ず項目毎に関連する文書の必要性が存在することがわかります。その一覧表「ISO 50001 要求事項の適合に対応する文書(ドキュメント)」を作成しました。 ご興味がある方はぜひダウンロードして見て下さい。
「ISO 50001 要求事項の適合に対応する文書(ドキュメント)」一覧表
ダウンロード
一覧表の内容をまとめると、ISO 50001適合するために12の主要管理文書が重要であることが一目瞭然となります。
EnMS-Doc が「M333J セットメニュー #101,『全12主要管理文書』」を提供している背景はそこにあります。
ISO 50001 の最も優れている点は、必要な管理文書を構築すると EnMS 運用に関わる既存ドキュメント類、手順書、日誌、データ類や省エネ法関連文書などが ISO 50001 適合ドキュメントに格上げされるところにあります。
- EnMS 管理ドキュメント「ガイドブック + テンプレート = インワン」シリーズ」...EnMS 主要12管理ドキュメントセット紹介リーフレット
- EnMS 監査ガイドライン」...EnMS 監査ガイドラン紹介リーフレット
- EnMS 監査スコアカードスコアカードサンプルシートを見る...
- 組織の要求項目に沿った、EnMS 関連ドキュメントの企画、作成
- 組織が ISO 50001 「自己宣言」できる EnMS 運用体制を1か月で構築する支援業務...コンサルティング業務紹介リーフレット
- EnMS 運用管理に関わるコンサルティング業務
- EnMS モニタリング活動に関するコンサルティング業務
- EnMS 監査に関するコンサルティング業務
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ドイツ連邦環境局(German Federal Environment Agency)が発行しているリストで、こちらを訪問していただくと、そのリストファイル(pdf)がダウンロードできます。
このファイルは定期的に更新されており、最新版は、2013年3月のもので、ISO 50001 認証状況を最もタイムリーに開示している資料と考えています。EnMS-Doc では、1月バージョンと最新の3月バージョンをエクセルに変換し、データの並べ替えをした独自の解析をして見ました。(エクセル版をご希望の方はこちらから)