本記事では、ハミルトン氏よりSEPの内容がとてもわかりやすく解説されていますので、概要をご紹介します。記事は「日本ではあまり知られていないが、米国では『SEP』と呼ばれる、ISO 50001をベースにしたエネルギーパフォーマンスの継続的改善を目的とするプログラムが製造業をメインに推進されており、エネルギー使用削減において大きな成果をあげている。同プログラムに参加する企業は、自己宣言かSEP審査員による認証かのいずれかを選択できる。これまでの認証機関による認証制度に対するオールタナティブな制度と言えるだろう。」というアイソス編集部による解説からはじまります。
まず、SEPプログラムが米国企業のグローバルにおける競争力強化を目的としていることを強調し、ISO 50001認証について、次のようにコメントしています。「ISO事務総長のロブ・スティール氏が、「ISO 50001によって改善されたエネルギーパフォーマンスは、エネルギー源とエネルギー関連資産の使用を最小にし、その結果、エネルギーコストとエネルギー消費の両方を抑え、組織に速やかに便益を提供できます」と述べているように、これはビジネスに直結した規格なのです。ISO 14001では、マイナスの側面をいかに消すかに感心が行きがちだったので、パフォーマンスよりも認証がクローズアップされましたが、ISO 50001は、認証よりもパフォーマンスがクローズアップされます。どうも世の中には、マネジメントシステム規格との適合を証明するには第三者認証が必要であるという誤解があるようです。これは非常に問題があると思います。ISO 50001を実施する際、自己宣言という選択肢もあるのですから」(以下、ISO 50001手引書抜粋参照、「月刊アイソス」3月号91ページより引用)。
米国でのEnMSの動向について次のように語っています。「私はU.S.CEEMの理事を努めています。この評議会のメンバーは製造業がメインで、ダウ・ケミカル、HP、トヨタ、日産などの企業のほか米国エネルギー省も入っています。U.S.CEEMは、ISO 50001をベースにした「SEP」というプログラム推進しています。SEPでは、エネルギーパフォーマンスの継続的な改善を測定し、検証するために詳細なガイドラインを作成し、その検証結果を評価する取り組みを続けており、ISO/TC242の一歩先を進んでいます。」アイソス編集部による「SEPはISO 50001の認証取得を推奨しますか?」という質問に対して、次の興味ある回答をしています。「SEPでは、ISO 50001の認証を取得するか否かは、最終的にはユーザー組織が決めることだと考えています。エネルギーパフォーマンスの継続的改善という「実」を取る方向を目指すのなら、別にISO 50001の(第三者を介す)認証を取らなくてもいいと思います。SEPのパワーは、ISO 50001をベースにしつつ、ISO 50001よりもエネルギーベースラインとエネルギーパフォーマンス指標の部分を詳細にガイドラインで規定しているところにあります。」最後に次のようなISO 50001へのエールで締めくくっています。「ISO 50001を認証云々だけで考えず、企業のエネルギーパフォーマンスを良くするための方法として、もっと広めていく必要があると思います。この規格は、規格購入費こそかかりますが、使用料はかからないオープンソースなのですから、みんなでどんどん共有して使えばいいのです。認証機関にとっては、組織が認証審査を受けないと儲からないかもしれませんが、認証機関が自己宣言のためのツールを安く提供することでビジネスにつなげるという手もあると思います。実際、そのようは方向に関心を示しておられる認証機関もあります。」本記事の更なる詳しい内容について興味あるかたは「お問合せ」ページまたはメールでnobby@enms-doc.com 宛ご連絡下さい。
さらにハミルトン氏はGSEPについて、次のように紹介しています。「2010年7月に開かれたCEM(Clean Energy Ministerial)で、省エネに関する日米共同イニシアチブとしてGSEP(Global Superior Energy Performance Partnership)が設立されました。GSEPでは6つのワーキンググループ(WG)が活動しており、そのうち日本は3つのWG(セメント、電力、鉄鋼)を、米国が2つのWG(EnMS認証、放熱効果の高い屋根と舗装道路)を、フィンランドが1つのWG(コージェネレーション及び地域冷暖房)を担当しています。窓口は、日本は経済産業省、米国はエネルギー省、フィンランドは雇用経済省です。」経済産業省が公開しているのGSEP体制図(右)を参照下さい。
ところで、3月と4月は、GSEPに関連して、以下の重要な会合が予定されています。
3月12日、13日 日本・東京 「エネルギー効率に関するグローバ
ルパートナーシップ(GSEP)第1回セクター別ワ
ーキンググループの開催」
3月22日、23日 韓国・ソウル 「GSEP エネルギーマネジメント
ワーキンググループの開催」
4月25日、26日 英国・ロンドン 「クリーンエネルギー大臣会合(CEM)第3回会合」
東京で開催される「第1回セクター別ワーキンググループ」(3月12日、13日)は、経済産業省より海外関係者へは1月31日の段階で案内(GSEP Sectoral WGs Invitation from METI)が出されていましたが、国内一般には3月6日に案内(経済産業省による公開案内)が公開されたあわただしさです。日本がリードする電力、鉄鋼、セメントの3つのワーキンググループの内、セメントWGは進捗が遅れているようで、今秋に延期され、2つのWGのみで開催されるようです。
前述、ハミルトン氏記事が掲載されている「月刊アイソス」3月号には「事業継続マネジメント:ISO規格最新動向とBSMS導入のポイント」が特集として組まれています。
「エネルギーマネジメント」と「事業継続性」は切っても切れない縁であることが、この特集からよくわかります。読んでいくと、内容がほとんどエネルギーマネジメントシステムと相通じることがわかります。ご興味がある方は、「月刊アイソス」3月号を入手されることをおすすめします。震災などのリスクに対応した事業継続計画が重要視されている大きな要因は、「エネルギーが途切れると事業がなりたたない」という認識の存在と考えいています。ISO 50001 に基づいたエネルギーマネジメント運用の徹底を図ると必然的に事業継続性についてマネジメントする方向に向かっていることが理解できます。 本ホームページで販売している省エネ法「管理標準」およびISO 50001適合するエネルギーマネジメントに必要な12のマネジメントドキュメントは事業継続マネジメントと互換性を共有するドキュメントであるとご好評をいただいています。
みなさまの身の回りには目に見えないエネルギーという動物が走り回っています。
そのエネルギーが見えないでどうやってエネルギーマネジメントができるのでしょうか。
エネルギーモニタリングはまずエネルギーという動物がどのように走り回っているかを見えるようにしてくれます。
エネルギーの走り回っている様子が見えてくると、いっぺんにエネルギーマネジメントの世界が明るくなります。
エネルギーの動きが見えるだけで、人間は賢いもので、そのエネルギーをどうやっておとなしくさせるか考え、行動をとります。
結果が出るだけでなく、結果も見えます。努力した人は嬉しくなります。
正式なデータに基づいた結果は、自信をもって上司に報告できます。上司にほめられ、努力した人はもっと嬉しくなります。
動機を備えた人ほど強い者はいません。よい結果を維持する努力だけでなく、工夫してさらなる改善へ動きます。
(1) エネルギーマネジメントは、生産量単位あたりエネルギー消費量を下げることが目的ではなく、エネルギー消費量単位あたり
どの位の価値を創造するかのビジネスである。
(2) エネルギーマネジメントは、マイナスの側面を如何に除去する作業ではなく、最高品質の商品またはサービスを
最少のエネルギーで作り上げることによって、競争力をつけるものである。
(3) どの位の価値を創造するかのビジネス課題はエネルギーユーザ組織が自主的に評価する他にない。
(4) エネルギーユーザ組織は、事業を展開する上で、① 第三者認証機関による認証を取得することにメリットを見出すか;
② エネルギーマネジメント運用によるエネルギーパフォーマンス改善という「実」をとる自己認証にメリットを見出すかの選択になる。
(5) 自己認証の信憑性はその組織のサスティナビリティおよび CSR への取組みがいかに社会にコミュニケーションされて
いるかにある。
(6) そのコミュニケーションの大きな要因は、エネルギーマネジメント運用により継続的エネルギーパフォーマンス改善を
確実にするしっかりしたドキュメンテーションを確立し、それをベースに運営されているかにある。
(7) 言い換えると、エネルギーマネジメントへ確固たるドキュメンテーションが確立され、それに基づいて運営されていれば、
たとえ予告なしの査察が入っても自己認証は全く怖いものなしである。
(8) たとえ、エネルギーマネジメント監査を実施しても、8割以上の作業はドキュメンテーションの評価の時間に割かれると考える。
それはエネルギーパフォーマンス改善の定量化評価やベースラインの設定やEnPIの定義などほとんどがデータ分析と
その分析をサポートするドキュメンテーションの存在による適合性作業が主体となるからである。
ISO 50001 自己認証をサポートするには、自主的な行動が必要になります。ISO 50001 自己認証についてご意見をお聞かせください。本サイトは、今後ともISO 50001 自己認証のメリットを追求していき、ISO 50001 自己認証の仕組みが普及するよう応援します。ISO 50001 自己認証には認証機関の役割も大きいと考えます。すでに ISO 50001 自己認証を促進するサービス商品を提供している認証機関もおられます。注目下さい。
(1) エネルギーマネジメントは、第一目的であるエネルギーパフォーマンスの改善が継続的に実施され、持続的事業運用のマネジメント
システムが生きていれば、必然的にISO 50001に適合していることになり、基本的に ISO 50001 の自己認証を宣言する仕組みを
提供しているからです。
(2) 国際規格であるがゆえ、グローバルに所在(日本国内も含めて)する事業所のエネルギー・パフォーマンスの改善を共通の尺度に
おいて定量化評価(見える化)できるからです。
(3) ISO 50001適合EnMS運用を確実にする「管理標準」を含めた主要管理文書の作成はエネルギー管理統括者、エネルギー管理企
画推進者、およびエネルギー管理者が担うからです。
ISO 50001は認証にこだわっていません。
ISO 50001は「エネルギー・パフォーマンスの改善」にこだわっています。
つまり、形式ではなく、実をとることを強く推奨しています。
「実」とは何でしょうか?
それは、エネルギー・パフォーマンス改善により、事業の価値を上げ、事業の持続性を確実にすることです。
それでは、ISO 50001 は何を求めているのでしょうか?
何も求めていません。それぞれの組織が担う事業運用に沿ってエネルギーマネジメントシステム(以降、「EnMS」)を確立し、文書化し、実施し、エネルギー・パフォーマンス改善の目的・目標を達成することにより、組織が使命とする「持続的視野にたった事業展開」を促進することが、ISO 50001の狙いであり、願いでもあります。