ここに紹介するEnMS 監査ガイドラインは、EnMS国際規格 第4章「エネルギーマネジメントシステム要求事項」4.6項「パフォーマンスの評価」にある要求項目4.6.3 項「EnMS内部監査」に準じて作成された管理文書です。その項に記述されている「この国際規格の要求事項を含むエネルギーマネジメントのための計画されたアレンジメントに適合していること」および「実効性をもって実施され維持されていること」について確保されているかのエネルギーマネジメントシステム監査が主になります。
ここまでは他のマネジメントシステムとそれほど変わらない内容です。
ところが「この国際規格」とは「ISO 50001」を指しており、EnMS運用は他のマネジメントシステムと違って、エネルギー・パフォーマンスの改善を目的としています。従って、監査内容もその目的に沿ったものにするには、運用面適合性を評価するだけでなく、エネルギー・パフォーマンスの評価も監査活動の1つとなります。
米国で展開中のSEP規格では、第三者による認証を得る場合、リード監査員とエネルギー・パフォーマンス検定士のチームで監査を臨むことを要求しています。
「EnMS監査」のおもしろい問題提議をすると、例えば、エネルギー消費削減目標を「5%」 にしたが、「3%」しか達成できなかった場合、監査員は「不適合」を出すでしょうか。答えは「No」です。その理由は、事業において、削減目標を「1%」に対して「1%」達成するのと比較して、『「3%」しか達成できなかった』ほうがメリットがあるからです。
従って、「EnMS監査」をする上で重要なポイントは以下の項目です。
① エネルギー・レビューの内容を十分理解する。
具体的に、その組織にとってどのような省エネ機会があり、またベー
スラインをどこに定めて、目標をどこに置いたか。
(EnPIの背景を認識する)
② EnMS活動計画の内容を十分理解する。
具体的には、エネルギー・レビューの結果、組織はその内容をどれく
らい反映しているかがポイントになります。
上記のポイントを踏まえて、監査をすると、その組織のEnMSへの姿勢が明らかになり、あらゆる面で監査所見が得やすくなります。そして、もう1つの重要なポイントは、
③ モニタリング「見える化」活動です。
エネルギー・パフォーマンスを評価する上で、「見える化」によるデー
タ収集とEnPIの監視状況は監査証拠の観点から非常に重要になり
ます。「見える化」の体制がしっかりしていれば、しっかりしている
ほど、監査員の心をひきつけます。
最後にもう1つの重要なポイントは、
④ 継続的改善への活動状況です。
EnMS運用におけるエネルギー・パフォーマンスの改善の気づかれ
てない要因は、「一旦エネルギー・パフォーマンスの改善を達成して、
そのベストの状態をどうやって維持するか」にあります。よい状態を
維持することは生易しいものではありません。場合によってはより
一層の努力を必要とします。
「よい状態を維持する」=「継続的改善」と解釈してみませんか?
組織が持続的事業すすめる上で、EnMS運用を積極的に展開実施していれば、「EnMS監査」において、「不適合」はあり得ないというのが持論です。そういうと、「EnMSの監査員は楽である」と言われがちですが、実は他のマネジメントシステムと違って「EnMSの監査員」の難易度ははるかに高いと考えます。理由はいろいろありますが、主な理由は、「EnMSの監査員」はエネルギー・パフォーマンス改善の内容について、組織の事業目的と目標への優位性について、組織のトップレベルと語り合わなければならないからでしょう。
EnMS 監査ガイドライン(文書ID: EnMS-Audit.Gdln-M01J)
評価用のスコアカードを採用したEnMS監査ガイドラインは、ISO 50001 を100%マスターせずとも、被監査メンバーがEnMS監査にどう臨んだらよいか、とても有意義な参考書として使えます。本ガイドラインは、EnMS監査について発想の転換を提案しています。エネルギーパフォーマンスの改善機会はどこにあり、その機会をどのように具体化しチャンスにするか、目標をどのように定め、何をもって評価とするか、などなど、まさにプラス志向の話が満載で、監査の主役は監査員ではなく、被監査メンバーとなり、エネルギーユーザの動機が高まる楽しい監査になることを狙っています。そして本ガイドラインがエネルギーユーザ組織で利用されると「被監査メンバーが監査員を監査する」状況が想定できます。それは、EnMS監査の7割が、ドキュメントレビューを含めたエネルギーパフォーマンス改善の検定と評価作業になるからです。 文書サンプルを見る...
EnMS 監査スコアカード(ツールID: EnMS-Audit.SCR-R04J)
モデル事業所を対象とした監査質問を主な要求事項毎に例題として提示し、その回答に応じて「0-10」の採点をします。全ての質問が終了した時点で、主要要求項目毎に「0-100%」の評価点が集計され、組織のEnMS運用のレベルが出てきます。スコアカードを使うと、ドキュメントの事前評価や質問内容やなど準備内容が濃くなり、監査活動の効率が大幅にアップします。スコアカードは、監査員の評価内容が透明化され、被監査メンバーは結果に対して改善へ取組みやすこくなります。 スコアカードサンプルシートを見る...
アラカルトメニュー
● M20J EnMS 監査ガイドライン(ワードファイル) 6,000 円 (pdf ファイル) 5,000 円
● R218 EnMS 監査スコアカード(1 ワードファイル「ユーザガイド」、13 エクセルファイル) 9,000 円
セットメニュー
● M555 セットメニュー 計量・検定を伴う EnMS 監査: ガイドラインとスコアカード・ツール(M20 と R218P のセット); 12,000 円
「ISO専門誌・月刊「アイソス」の表紙が4月号より、イメージを入れた白地の表紙、見出しが横文字(英字タイトル含む)で、新鮮さと何か言葉では言い表せない期待感を感じさせます。
4月10日に発行された「アイソス5月号」の「Viewpoint this month」リレー連載第2回
ISO 50001 を活用せよ!
日本:省エネ法との連携に期待
米国:SEPで産業活性化を推し進める
と題して、ISO/TC242(エネルギーマネジメントを審議する技術委員会)対応国内委員会委員である寺田博氏と EnMS-Doc アソシエーツ・山之内の viewpoint が掲載されています。
題名のごとく、サスティナビリティ事業展開へISO 50001の有効性と省エネ法との連携などの重要性を説く寺田氏のISO 50001への思いはいつもながら頭が下がり、同じ考えを持つ者にとって元気づけられる内容です。私のほうからは、米国のSEPプログラムの動き、特にベストプラクティス スコアカードとSEP独自の認証制度について語り、ISO 50001を活用して、米国産業界のグローバルにおける
競争力強化を促進する米国政府の思いを紹介しました。
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機会のある方は、ぜひ本号に接して下さい。自動車産業界関係者は、本号特集「自動車産業セク
ター規格 ISO/TS 16949徹底解説」は内容が濃く、必読です。
「月刊アイソス」3月号には「事業継続マネジメント:ISO規格最新動向とBSMS導入のポイント」が特集として組まれています。
「エネルギーマネジメント」と「事業継続性」は切っても切れない縁であることが、この特集からよくわかります。読んでいくと、内容がほとんどエネルギーマネジメントシステムと相通じることがわかります。ご興味がある方は、「月刊アイソス」3月号を入手されることをおすすめします。震災などのリスクに対応した事業継続計画が重要視されている大きな要因は、「エネルギーが途切れると事業がなりたたない」という認識の存在と考えいています。ISO 50001 に基づいたエネルギーマネジメント運用の徹底を図ると必然的に事業継続性についてマネジメントする方向に向かっていることが理解できます。 本ホームページで販売している省エネ法「管理標準」およびISO 50001適合するエネルギーマネジメントに必要な12のマネジメントドキュメントは事業継続マネジメントと互換性を共有するドキュメントであるとご好評をいただいています。
(1) エネルギーマネジメントは、第一目的であるエネルギーパフォーマンスの改善が継続的に実施され、持続的事業運用のマネジメント
システムが生きていれば、必然的にISO 50001に適合していることになり、基本的に ISO 50001 の自己認証を宣言する仕組みを
提供しているからです。
(2) 国際規格であるがゆえ、グローバルに所在(日本国内も含めて)する事業所のエネルギー・パフォーマンスの改善を共通の尺度に
おいて定量化評価(見える化)できるからです。
(3) ISO 50001適合EnMS運用を確実にする「管理標準」を含めた主要管理文書の作成はエネルギー管理統括者、エネルギー管理企
画推進者、およびエネルギー管理者が担うからです。