「自己宣言」は、サスティナビリティ(特に CSR を意識した)の時代において、「認証」に勝るとも劣らない有効手段であると考えます。実質をつくと、「自己宣言」するレベルにない企業が「認証」を取得することはあり得ず、そこに「自己宣言」の意義があることに企業は認識する必要があります。
自称「エネルギーマネジメント先進国」である日本の企業が、認証に係るコストの観点から ISO 50001 について優先順位を下げる理由は理解できるのですが、事業の優位性をステークホルダーへ知らせるためにもなぜ「自己宣言」をしないのか、不思議でなりません。
省エネ法で確立された、エネルギーマネジメントのルールとそれから必然的に ISO 50001 に適合する体制および ISO 50001 に適合する文書化をベースに、エネルギーパフォーマンス指標によるベースラインと目標を確立さえすれば、自信をもって「自己宣言」できるはずです。
あとは、ISO 50001 が要求項目からはずしている「外部へのコミュニケーション」を有効的に駆使し、オープンにステークホルダーおよび公共一般の方々へ「自己宣言」の優位性を伝達すればよいと考えます。「自己宣言」の信頼性の評価は、ステークホルダーおよび一般関係者の判断に任せればよいのではないでしょうか。必然的にその企業の価値は上昇すると考えます。
「自己宣言」は、 ISO 50001認証コストの最適化の観点から中小エネルギーユーザ組織への認証取組みを促進するだけでなく、大規模エネルギーユーザ組織にとっても大きなメリットをもたらします。大手企業にとっても認証取得および維持コストは、人件費を含めてかなりの負担になっています。マネジメントシステムが負担と思う時点で、マネジメントシステムが機能しているかを見定める必要があります。その点、自主性がベースにある「自己宣言」によるマネジメントシステムは、目的志向が高く、責任・役割および評価システムが明確化がされ、組織全体へ動機づけを浸透させた、結果をだす事業の運用を引き出します。そのシステムの下で、認証をめざしした場合、コスト効果の高い、非常に効率の良い監査活動が期待できます。「自己宣言」コンセプトは、中小企業だけでなく、大企業の ISO 50001 認証取得マーケットを拡大する鍵を握っていると考えます。
「自己宣言」の優位性による著しいプラスの側面は以下の通りです。
- 組織の自主性を全面的に出したアプローチは、ベースラインおよび目標 EnPI、さらには改善効果の内容を隠さず公開する積極性を発揮します。
- 「自己宣言」コンセプトは、組織全員へ責任感と植えつけます。
- 「自己宣言」による効率の高いEnMS 運用は、外部監査より内部監査の中身がより濃くなり、「被監査人が監査員を監査する」といった逆の現象が生まれます。
- 「自己宣言」を実施した自信に満ちた組織は、「認証」取得に取り組んだ際、効率よい審査だけでなく、人的負担もなく、認証維持活動も日常の事業運用にブレンドされた、コスト効果を最大限生かした「認証」を確保することができます。
電子情報技術産業協会(JEITA)「産業システム事業委員会」主催、講師 寺田博氏による、 「元気の出るエネルギーマネジメント」講演会 が2月1日(金)13:30~15:30 (場所:JEITA 409-411会議室 東京都千代田区大手町1-1-3 大手センタービル4階 )開催されます。
「元気の出るエネルギーマネジメント」講演会の詳細は、
こちらから...
ISO/TC207/SC3 Expert でおられる講師寺田博氏(IMS コンサルティング株式会社 取締役顧問)は、開発当時からISO 50001に関わっておられます。 筆者もISO 50001が発行される1年前の2010年5月ごろ、システム規格社(ISOS 誌)が主催した寺田氏による「ISO 50001 DIS版説明会」をうかがいました。 また寺田氏には本ウェブサイトの会員にもなっていただいており、あらゆる面で、本サイトの内容について参考にさせていただいています。2月1日筆者はあいにくカナダにおり本講演会に出席できませんが、寺田氏が元気を出すエネルギーマネジメントには大きな興味を持ちます。参加される方は、ぜひご意見などの情報をご提供下さい。よろしくお願い申し上げます。
企業のサスティナビリティ事業展開を確実にする ISO 50001。その EnMS 国際規格を促進する EnMS-Doc は、実用的な継続的パフォーマンス改善運用を組織に浸透する、わかりやすいガイドラインを作成しました。 そのエネルギーパフォーマンス改善の手順を浸透させると、エネルギーだけでなく、事業パフォーマンス改善を浸透させることと同一であることに気付きます。ここは、ISO 50001 と ISO 9001 が大きくオーバーラップする領域です。マネジメントシステム統合をお考えの組織はこの点に注目下さい。
ガイドラインの概要はこちらから...
効果的なEnMS運用を実施する重要なアプローチは常に「より良くしよう」というエネルギーを組織のなかに浸透させ、維持することにあります。同時に、予期せぬ出来事や歓迎しない出来事が起こった時あるいは起ころうとした時、EnMSは速やかかつ効率的に対策をとり、その状況を機会に転換する体制を装備していなくてはなりません。言うは易く行なうは難し。実際は組織全員による継続的改善への絶え間ない集中力と、よりよくしようとする積極姿勢と、そこに到達する訓練を必要とします。すぐに完璧を狙えば挫折します。まずはスタートして一歩一歩進歩していくことが重要です(PDCAの真髄)。それには組織の全従業員による「グッド、ベター、ベスト」姿勢を運用面に反映する環境づくりが必要であることを組織は認識しなくてはなりません。その一環として、EnMS運用における「継続的改善ガイドライン」を策定するに至りました。その内容を作り上げる過程で、「継続的改善ガイドライン」は会社の事業運営に相通じるものがあり、EnMS運用と事業運用のその根本は共通していることを認識したこと自体、価値ある成果物となっています。
本文書は、実際の継続的改善活動を想定し、そのEnMS運用が目標としているエネルギー・パフォーマンス改善を達成または達成した状態を維持するよう指導する実用型「EnMS 継続的改善行動ガイドライン」です。また問題発生、不適合などに関わる解決、再発防止策などを改善と位置づけ、問題解決手順も本書に含めています。つまり、問題をプラスに考え、改善へ展開し、さらに事業の機会に転換することを狙っています。
本文書は、継続的改善活動の運用ガイドラインならびに管理規定を定めたものです。主な狙いは、EnMS運用におけるエネルギー・パフォーマンスの改善と達成した改善レベルの維持を主目的とする活動についてのガイドラインと要求項目を定めたものであり、改善と維持活動が必然的に継続的改善へつなげるための手順書でもあります。さらに本文書は組織の全従業員が継続的改善のへの考え方になじむよう配慮してあり、そしてEnMS運用におけるさまざまな状況に対応できる「ベスト行動」を展開できるガイドブックの役割を担うよう作成されています。
従って、要求項目はプラス志向の実用性に富んだ内容になっており、要求項目を反映すれば、確実にサスティナビリティ事業展開を優位に進められることを経営者は認識するはずです。その要求項目を事業運用上有利に展開することを確実にし、確立した体制と運用レベルを確実に維持するには、最低の文書化が必要となります。ISO 50001 の要求項目ごとに中身を吟味すると必ず項目毎に関連する文書の必要性が存在することがわかります。その一覧表「ISO 50001 要求事項の適合に対応する文書(ドキュメント)」を作成しました。 ご興味がある方はぜひダウンロードして見て下さい。
「ISO 50001 要求事項の適合に対応する文書(ドキュメント)」一覧表
ダウンロード
一覧表の内容をまとめると、ISO 50001適合するために12の主要管理文書が重要であることが一目瞭然となります。
EnMS-Doc が「M333J セットメニュー #101,『全12主要管理文書』」を提供している背景はそこにあります。
ISO 50001 の最も優れている点は、必要な管理文書を構築すると EnMS 運用に関わる既存ドキュメント類、手順書、日誌、データ類や省エネ法関連文書などが ISO 50001 適合ドキュメントに格上げされるところにあります。