フランス料理レストラン「シェ・ケン」の若松店(千葉市、写真)におじゃまして、株式会社シェ・ケン代表取締役であり総料理長でもある山口賢さん(写真)を取材した。アイソスが取材するのだから、当然ISO認証組織である。同社の新本社工場(2011年10月開設)が、フランス料理の製造工場としては国内初であるISO22000、ISO/TS22002-1の認証を今年4月に取得した。認証機関はBV。山口さんは「機械を使った食品工場ならHACCPだけでもいいかもしれないが、当社の工場は手作りでフランス料理を作っているので、食品安全にきちんと対応できる人材を育てるためにはISO22000、ISO/TS22002-1でなければならなかった」と語っている。
詳細はアイソス新年号(2012年12月10日発行)で。
HACCPを導入している食品工場がローストビーフを製造する時、加熱殺菌する時は「75度1分」というルールを決めているところが多いが、「このような加熱条件でローストビーフを調理すると、美味しさが失われてしまう」と、フランス料理店「シェ・ケン」総料理長の山口賢氏は言う。シェ・ケンの調理基準の詳細は企業秘密だが、調理するたびに検証データを蓄積し、何度もバリデーションを繰り返すことで、科学的根拠に基づく管理基準を確立し、美味しさを損なわない加熱条件で、ローストビーフを作っているとしている。その管理方法で今年の4月、ISO 22000+ISO/TS22002-1の認証を取得した。山口シェフ曰く、「HACCPもすばらしいが、美味しさにこだわるなら ISO 22000 だ」。
【本ブログ内容から思うこと】
本内容は、「Top management thinking」の観点から、人材育成などISO 50001 に共通するメッセージがあり、とても興味をそそぎます。不思議と山口賢氏の考え方を聞いただけで、空腹感を感じ、「シェ・ケン」で食事をしたいという食欲にかられます。ISO 50001 も同じようなトップマネジメントの優れた考え方を必要とします。よく、EnMS運用責任者から「エネルギーマネジメントの優秀性をどうトップマネジメントへ説得・認識させたらよいか」と聞かれます。「トップマネジメントへ説得・認識させる必要はありません。あなたのような優秀な会社のトップマネジメントはエネルギーマネジメントの優秀性を十分認識しており、あなたの悩みをきっと解消してくれるでしょう」と回答します。言い換えれば、トップマネジメントへ説得・認識させる必要が本当にあるのであれば、「エネルギーマネジメントの優秀性をあなたを含めた全従業員へ認識・説得させる優秀なトップマネジメントをあなたの組織は必要とします」を意味します。